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寡占市場のカツラ業界構造を低価格高品質で打ち破る

雑誌 2003年 頭で儲ける時代 1月号



寡占市場のカツラ業界構造を低価格高品質で打ち破る
頭で儲ける時代



世の中的には、ITバブルの崩壊から"ネットベンチャー"という言葉をあまり聞かなくなりました。

アイデア(だけ?)勝負で多くの資金を集め、いざ事業を開始したものの、1年ももたずに清算といった例が多々あります。しかし、なかには着実に実績を積んで成功を勝ち取るいわば「勝ち組み」もあります。

オーダーメードのカツラを販売する「カツラのウィズ」(http://www.katurawith.com)は、ネットベンチャーの「勝ち組み」に入るでしょう。

「カツラのウィズ」は、2002年1月に起業したネットベンチャー(従業員3人)で、寡占市場に果敢に挑み、半年経って、アクセス数は1日あたり80〜100件、注文は350件に達し、売上げ、アクセス数ともに、月約10%の割合で伸びていると言います。

日本の成人男性の4人に1人は薄毛に悩んでいて、しかも、その比率は年々上昇しているのだそうです。ストレスが大きな原因のようですが、女性でも薄毛に悩む人口は増加していると言います。

当然、カツラ市場は急成長していて、現在の市場規模は1000億円超、カツラを着用するユーザーは全国で約80万人になります。調べてみると、現在、国内のカツラ業界では、大手メーカー2社が市場シェア率80%以上を占めている寡占市場です。

一方で、カツラはなかなか口コミや紹介で広がりにくい商品であるので、テレビCMを中心とした広告で新規顧客を開拓しなければならないと言います。大手メーカーならば大規模な宣伝広告ができるのですが、現状では、その分価格は高くなっているのです。製造原価に莫大な宣伝広告費が加味されて販売されるのです。

「カツラのウィズ」はそうした「寡占市場」「価格の高さ」にネットの力で挑んでいるのです。


オーダーメードカツラ「カツラのウィズ」

「カツラのウィズ」では、大手業者の販売価格が平均80万円するのに対し、部分カツラの定価は14万8000円、全カツラの定価は16万8000円のツープライス制で販売しています。

運営統括責任者である(有)ウィズの宮崎弥生さんは「高品質のオーダーメードカツラを大手の3分の1〜5分の1の価格で提供する。これが、お客様にとっては一番の魅力であると思います」と言います。

「カツラのウィズ」のビジネスモデルを説明しましょう。ウィズのサイトから購入申込をしたお客に対して、最も近い場所のウィズと提携している理容店が紹介されます。お客はその理容店を訪れてカツラの型取りをしてもらい、そのデータをもとにして海外の工場でオーダーメード型のカツラが40〜50日程度で製作されるのです。

完成したカツラは理容店に納品されるため、顧客は再度理容店を訪れて最終調整と自毛のカットを行います。理容店側には、カツラ代金のなかから数10%の手数料が支払われるようになります。

このビジネスモデルは関係者が複数関わっていて少々複雑です。ウィズの成り立ちを含めてもう少し詳しく説明しましょう。

宮崎さんは大手通信会社勤務後アメリカに留学、そこでインターネット時代を確信したと言います。帰国後プロバイダーに就職、その後、ホームページの作成や販売促進システムの開発を行ったのですが、販促システムを使った成功事例をまず自分で作ろうとしているところに転換期が訪れたのです。

知人であるカツラ愛用者が宮崎さんに、カツラを扱ってきた大阪の理容師を紹介したのです。この理容師は、カツラの価格が高騰していることに問題意識を感じ、単独で中国のカツラ工場を調査して実際に訪問、交渉の末、数年前まで国内大手メーカーのカツラ製作を担当していた工場との間で製作の契約を交わすことに成功し、低価格のカツラを提供していました。

しかし、店舗は関西の理容室1つであることや、広告宣伝に苦労して顧客の開拓に限界を感じていました。そんな折、この紹介を受けてインターネットを活用して高品質、低価格のカツラを効果的に全国規模で販売することを企画、、、これがウィズのカツラです。つまり、ウィズはネットに通じた宮崎さんとカツラを長年愛用している知人、そしてカツラの価格に疑問を感じた理容師の3者によって誕生したのです。  

ウィズを理解するには、あと中国工場と提携理容店を説明しなければいけません。大手メーカーがそうであるように、世界のほとんどのカツラは中国で生産されています。ウィズでは年に数回、製作を依頼しているカツラ工場に出向き、よりよいカツラを作るための開発努力をしています。

カツラの販売の方はどうか。ネットだけで販売が完結できる商材ではありません。提携してくれる理容室・美容室の存在が大きいのです。どうやって提携店を見つけるのかというと、「やはりインターネットで探して、ホームページを閲覧して、考え方がウィズと合いそうと思ったところにメールを出しています。その後、電話したり実際お会いしたりしてヘアショップを決めています。ヘアショップは、ウィズのサービス提供の要です。ヘアテクニックだけではなく、人柄も重視しています。」と、宮崎さん。  

これだけのことをやっていると苦労に耐えないと思うのですが、「結構楽しくやっているので、苦労というほどのことはありません。」と言われてしまいました。それに、「東京(関東)を重点的にとは考えていますが、提携店を全国に作っていくつもりです(一都道府県に一店舗づつは配備したいです)。」と、ベンチャーらしさは今後も続くのです。


「カツラのウィズ」成功への3つのポイント

1.外部資源の有効活用

ウィズのビジネスモデルには、お客を先頭に、専門の異なる3者と中国の工場、それに提携している理容室・美容室が存在します。各関係者間で上手く連携するとともに、各自が最高の能力を発揮しないと、お客が満足した商品やサービスを提供することはできません。ウィズではそれが上手くいっています。

各関係者のメリットも大きいです。たとえば理容室・美容室については、ウィズと提携するとインターネット経由で新規顧客を紹介してくれると同時に、カツラ販売の手数料も得ることができます。カツラの利用者の明確な特徴として、カツラを着用している間は、それをサポートしてくれる理容室・美容室に通い続ける傾向が強いために、カツラを通して獲得した顧客は安定した固定客として確保することができるのです。

ウィズの方では、宮崎さんは「技術を磨き、最新のヘアスタイルを研究して切磋琢磨している理容室・美容室でウィズのカツラを取り扱ってもらっているので、多くのお客様から納得のいくスタイル仕上げが得られたと喜んでもらっています。」と言います。

ネットに限ったことではありませんが、いまは、異なる専門分野を持つ者同士が連携してひとつのビジネスを成り立たせていることが多いです。特に起業することを考えた場合、外部資源を有効に活用できるように人脈を含めたネットワークを普段から張り巡らせておくことをお勧めします。


2.専門分野を発揮したプロモーション

そうした意味では、ウィズの専門はシステムまわりになります。「マスコミに大量のお金を使って広告できないので(お金ないから)、今のところ何の手も打ってません。」と、宮崎さんは言いますが、有効なプロモーションとしてアフィリエイトプログラムを実施しています。

実はこのアフィリエイト、事例のところで言った販売促進システムです。 宮崎さんは「あみネット」という会社の代表という顔も持っています。ホームページ制作やシステム関係の仕事です。説明の順番が逆になってしまいますが、「あみネット」→「カツラのウィズ」という流れで、販売促進システム(アフィリエイトプログラム)の成功事例を作るために「カツラのウィズ」を立ち上げました。  

アフィリエイトプログラムとは、簡単に言うと成功報酬型のバナー広告になります。様々なサイトからウィズのサイトへリンクしてもらい、同経路で利用者からの購入申込がされた場合には、成功報酬として 5%がリンク元のサイトへ支払われるというものです。

カツラの利用者や見込み客は「知られたくない」という気持ちがあります。したがって、カツラは口コミでは広がらない商品です。また、この内向的な心理に対して、積極的な営業攻勢は逆効果になります。その意味で、アフィリエイトプログラムは大きな武器になるのです。

"専門分野を持つ者同士が連携してひとつのビジネスを成り立たせている"に照らすならば、宮崎さんの役割のひとつとして「あみネット」のノウハウや技術をウィズのビジネスに生かしていることがあげられるでしょう。


3.お客の不満を解消し既成の産業構造を打ち破る

最後は、ネットを活用して既成の産業構造を変えるということです。

大手メーカーのカタログには値段が載ってなく、対応したカウンセラーがお客様の頭の状態を見て、その場で値段が決まるという状況のようです。しかも、カツラは3年くらいで寿命になるので、数十万も出してやっと手に入れたカツラをまた購入するようになります。一度使い出したら経常的に出費がかさむのです。

利用者のなかには「価格」に不満を持ちながらも、「こういうものか」という気持ちを持たざるを得ないのです。ウィズは高品質のカツラを低価格で提供しています。

ウィズの成功は、この顧客本位のビジネスをしっかり実行している点にあるでしょう。企画倒れではなくて実行すること、言葉では簡単ですが、既成の産業を相手には、なかなか難しいことなのです。


「カツラのウィズ」のまとめ

起業するにあたって、多くを学べる事例です。自分の専門分野では他に負けないくらいのサービスを提供する。そして外部とのネットワークを張り巡らしてひとつのビジネスを実現する。

ビジネスの目の付け所も、不満を抱えるお客のために、既成の産業構造を打ち破る努力、その実行力がウィズの成功につながっています。



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