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着脱つれづれ日記9 カツラ珍事集・TV編1
かつらクチコミレビュー ペンネーム:カムーロ見や毛レオさん
「見や毛レオ」さんのレポート第9弾。サービス精神からついにテレに出演することになった見や毛さん。出演時のキャプチャー画像付きで臨場感たっぷりにお伝えします。
着脱つれづれ日記 4
●テレビは嫌いです。
いえ最近の日本の民放地上波番組の雑音が嫌いという方が正確です。
少なくとも東京で流す番組を見る限りでは、極端なインテリジェンスの低さ(僕がインテリという訳じゃありません)、国際性のなさ、どの局も三流芸人に牛耳られたような似た番組ばかり。
深夜でも突如雄叫びのような大声CMを垂れ流すテレビ局の無神経さ。傲慢さ。そうやって一番儲けているのは視聴率とスポンサー最優先の広告代理店であるという噂は本当のようです。
30年余りイタリアに住んでいるの親戚のデザイナーが久しぶりに帰国して言いました。
「日本のテレビ番組はどこも退屈なものばかりだね」と。
ああ嫌だ嫌だと思っているのは僕だけではないと思います。特におとなりに住んでいる綺麗な奥さんは同じように思っているはずです。なんちゃって。
ところが民放テレビに怒っているそんな僕が、子供には「こんなアホ番組ばかり見ていたら頭が腐るぞ!」といつもしかって嫌われている僕が、
なんとテレビの特番ニュースに出るはめに、取材を受けるはめになったのであります。済みません
●「テレビに出ませんか?」
放送は「ああ髪が抜けて行く…密着“運命の決断”」という恐ろしいタイトルでした。2時間のスーパーニュースの中でカツラの特番は20分です。
この「ユーザーレポート」に投稿している縁で、ある日宮崎さん(このサイトの管理人、With社長さん)が
「テレビに出ませんか?無理は言いません、主役はもう決まっていますし…」と電話をして来られました。
実は当時With(ウィズ)の新製品カツラ『ナチュラルフロント』を使ったのは僕が最初のハゲおじさんだったようです。例え脇役でもこれぞテレビに出る第一の動機でした。
装着当初から自分で使っていて、人からは絶対にカツラとは思われないそのパーフェクトな自然さを、人々に知ってもらいたいと思っていました。
「あの人、ズラなのよ」と後ろ指さされるようなこれまでの他社のカツラとは、ちょっと違うんですよ、と言いたかったのです。
ひとつ返事で承諾しました。(普通こういう時、二つ返事と言いますが)
さっそくテレビ制作ディレクターから電話が来ました。
僕の日常、つまり通勤タイムや外出や遊びではカツラ着用。会社での仕事中はカツラを脱ぐ習慣を話しましたら
「そんなこと信じられません!もしほんとに会社で脱ぐんでしたら、その証拠映像をぜひ撮らせて下さい!」
とてきぱきと撮影日程を言って来ました。
結果だけ申しますと、3箇所で撮影して350分収録しましたが、編集されて4分だけテレビに出ました。
O君29歳が今回の主役でカツラ使用前+使用後のストーリーとなっていますから時間的には一番長く、僕は「カツラを楽しんでいるおじさん」としての脇役です。
他にはスポーツライター小林信也氏と編み込み増毛をしている2人の男性の対談などもあり、オムニバス式に情報は配分してありました。
(僕の観察ではこの2人の男性は顔をぼかしているし、やけに流暢なトークからカツラ会社の営業マンではないかと思いますが、間違いましたら頭を丸めて謝ります)
。
主役のO君はこのホームページの投稿ページ(ユーザーレポート)の見や毛レポートを読んでカツラ着用の決断をしたのだ、と後で聞きました。
テレビ局からは「出社前のご自宅付近を歩くシーンから撮りたい」と言われ「では8時に我が家へ来て下さい。」と約束しました。
●撮影初日
ライバルテレビ局には以前ちょっと嫌なことがありましたから、どうせ約束時刻には来ないのがテレビ局の奴らだと決め込み、8時少し前になっても鏡台を覗き込んでいた僕は
「そうだハゲ頭に目玉を2つ描いて行こう。会社でカツラ脱ぐシーンも撮ることだし。」
と思い立ち、黒い墨で描いてみました。ありゃ、両目のサイズがちぐはぐになったぞ。
慌てている時ピンポーンとインターホンが鳴りました。
「テレビ局でございます。」時計見るときっかり8時。ライバルテレビ局と違ってずいぶん正確な人たちだ。
大急ぎで2つの目玉を消してカツラ付けて玄関に飛び出しました。
数人のスタッフと大きなビデオカメラを構えた人が庭で待ち構えていました。
「時間は正確ですね。」「はい、私達は制作会社。世界中どこだって決められた時間に出頭します。年中無休、休みはありません。」
引っ越して来たばかりの新居前で写されるのは照れくさいですね。居間での撮影も強く希望されましたがまだ段ボール集積場みたいにひどいのでやっとのことでお断りしました。
閑静な住宅街の朝の道路を歩くシーンもありました。
「もうちょっとゆっくり歩いてくださーい!」
あ、やっぱり言われちゃったか。僕は短足だから普通の速度で歩くと急ぎ足に見えるのは、友人のKさんを見れば良く分かる。
(Kさんは奇遇にも僕と生年月日も体のサイズも同じ。この日生まれた人はダウンサイジングに成功した優秀な男、と笑い合った事があったっけか。でもKさんは渋谷ビットバレーのIT会社経営の勝ち組。僕とは年収が極端に違います。)
とにかくペンギンが歩くみたいにせわしく見えてはいけないから、努めてゆっくり鷹揚に歩くのだけども、やはり
「もうちょっとゆっくり歩いてください!」と否応無しに注文が来ます。恥ずかしい。
お金持ちの多いこの久が原の往来を3度歩き直しをやらされました。
さてこちらに合わせていっしょに歩きながらインタビュアが問います。
「今はこれカツラなんですか?」 「(いかにも。よう聞いてくれた)カツラです。」
あとで放映を見ますと、実は緊張とノドの渇きで、やっと
「か、カツラです。」と答えているのでした。
「では会社へ急ぎましょう」 皆ワゴンに乗り込み会社に向かう車中、インタビュアは何度も言います。
「しっかし、こんなにそばで見てるのに、全然分かりませんね!カツラだなんて。」
会社へ全員到着して入室すると、僕はカバンを置いて着席しカツラを慣れた手付きではずします。
これぞFテレビが最も注目する「光り頭」のシーンなのです。
カツラを脱いでいつものように机上のぬいぐるみアンパンマンの丸い頭に乗せようとしたら
インタビュアは突然 「だめ!アンパンマンは他局だから」と怒りました。
「あ、そう?」 撮り直しではプラスチックのカツラ台にカツラを乗せました。
インタビュアは付け加えて言います。 「これはエンタメじゃなく真面目なニュース特番ですから、アンパンマンはだめです。」
なんだエンタメじゃないのか、ああ良かった!ハゲ頭に目玉を描いてなくて!
また怒られるところだった。 なるほど、カメラのおじさんは終始ニコリともせず真剣な表情でファインダーを覗いています。
●なぜ、はずすの?
「なぜカツラを、はずすんですか?」
「では同じ質問をします。なぜカツラをはずすんですか?」
とインタビューはくり返し続きます。
そのたびに 「この部屋、いつも蒸し暑いからです。」とか「仕事中までよけいな物、頭に乗せておけない」とか
「ハゲ隠しじゃないんです、乗せているだけです。」とか「外では帽子感覚のおしゃれ、中では仕事優先。おしゃれの必要ない。」とか「人違いされましてね。以来会社内ではハゲのまま」とか答えると
「い、いったいホントの答えはどれですかあ!」とインタビュアは困り果てて悲鳴を上げました。
「さあ、当ててみましょう」などと冗談を言う余裕もなく
やがて始業のチャイムが鳴る事を気にすると互いに焦って来ます。スタッフや社員もどんどん出社して来ました。
(本社館内収録は始業時刻まで、というのが総務部、広報室からの許可なのです)
でもさすが敵はプロ、同じ質問をくり返す内にこちらの考えもある程度まとまって来る事を計算しています。そこで最後に一発で決めるのです。
「付けたりはずしたりしてると人違いしたりして、迷惑かけちゃうから基準を作りました、外では付けて会社でははずす、と。」
で落ち着きました。
これで一件落着、さあ仕事はじめようかな、と思っていると突然
「ところで、どうせ脱ぐのに、どうしてカツラするんですか?
初めからカツラいらないんじゃないんですか?」
と続けるのです。
「うっ(こいつ頭いいな、鋭い質問をしやがる)」
じっとみつめるインタビュアに目が泳いでいる僕は適当に曖昧に答えておきましたが
もうちょっとで馬鹿正直に 「じょ、女性にもてたいからザンス」と白状するところでした。ああ冷や汗ドッキン。
9時始業時刻を過ぎても彼等はプロ、強引に社員やスタッフの席に行って
「見や毛カツラ」の感想を聞き出し収録して行きました。
同僚は皆、好意的な感想を言ってくれました。ありがとね。
見や毛レオ
お気楽かつら・カムーロ見や毛さん
この記事『着脱つれづれ日記9 カツラ珍事集・TV編1』は、かつら取扱い歴20年以上のウィズのスタッフが執筆しお届けしています。
かつらウィズでは「髪を通して笑顔と自信を」を理念として、ウィッグをご提供しています。
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