「新時代の創業」企業のいま ゆっくりと着実に「成長」

2009年 日本政策金融公庫調査月報 7月号


「新時代の創業」企業のいま日本政策金融公庫調査月報    ゆっくりと着実に「成長」日本政策金融公庫調査月報

創業期は、経営資源が乏しく製品・サービスを供給するシステムが不完全である。創業者はそれによって生じる問題を一つひとつ解決していかなければならない。しかし経営が軌道に乗ってくると、徐々に事業の幅を広げながら成長する企業は少なくない。

㈲ウィズはそうした過程を経て質的に「成長」している。


新しいビジネスモデルで参入

2002年に、㈲ウィズは少数の大手メーカーが大きなシェアを握るかつら市場に参入した。既存メーカーに対するユーザーの不満を発見し、小さな企業にも参入の余地があることに気づいたからだ。

ユーザーの最大の不満は、かつらの価格が40万~80万円と高いことだった。かつらの寿命は3~4年にすぎないので、何度も買い替えると車が買えるくらいの金額になる。その要因の一つは大手メーカーの広告戦略にあった。かつらはクチコミが起こりづらいことから、大手メーカーは製造原価以上に多額の費用を投じて、テレビなどのマス媒体で広告を展開していた。また、試着やカウンセリングを行うサロンを全国に設置していることもコストを押し上げていた。それらがかつらの価格に上乗せされていたのだ。

そこで同社は、インターネットを利用してかつらを販売するビジネスモデルを構築した。まず、ネット経由で注文を受けると、顧客には提携している美容店に出向いてもらう。そして美容師が髪質や色などを診断し、型を取って図面を作成する。それをもとに同社が中国の工場に発注すると、30~45日でかつらができあがる。もう一度顧客が美容店に出向いて、かつらを調整して完了だ。

同社はこのようなビジネスモデルを採用することで、広告費やサロンの運営費などを省いた結果、部分かつらを一律14万8,000円、全かつらを一律16万8,000円で提供できるようになった。


海外工場を管理することの難しさ

同社のかつらは創業直後から反響を呼んだ。安価な理由や品質に対する照会など、メールで数多くの問い合わせが寄せられた。これらのメールにていねいに対応するとともに、寄せられた照会と回答をホームページに公開するなど、情報提供に努めた。そのため次第に知名度が高まり、ネット上でのクチコミ、つまり「ネットコミ」が生まれるようになった。

ただし、創業直後から何もかもが順調だったわけではない。同社を悩ませたのは工場管理の難しさだった。当初、かつらの製造を委託したのは中国の工場だった。

自然なかつらを求める顧客のオーダーはきわめて細かい。「5ミリだけ白髪を入れてほしい」などとミリ単位で指定する。それが現地の工場になかなか伝わらなかったのだ。そんなに細かなことにまで応じなければならないという感覚が、現地の工場には分からなかったのかもしれない。そのため、指定どおりに仕上がらなかったり、納期に遅れたりすることがあった。同社はクレームに対応する負担が重かったことから、新たな工場に切り替えざるをえなかった。

そこで複数の工場と交渉し、試作品を作らせて選別した。そのうえで、最初の数カ月間は従来の工場と新規の工場の2カ所に同じオーダーを流し、製造能力に問題がないことを見きわめてから委託工場を切り替えた。2003年以降は中国とインドネシアの工場に製造を委託している。


顧客の声によって広がる製品の幅

顧客は、軽くて自然な感じに見えるかつらを望んでいる。顧客を獲得するにつれて、こうした要望が同社に伝わってくる。なかには、わざわざ図を描いて意見を寄せてくれる人もいる。そのような顧客の声をもとに、同社は製品の幅を広げている。

その一つはさまざまなオプションの開発である。例えば、「スエットガード」は、かつらの内側にある固定ベルトに汗吸収パッドを装着できるオプションである。「かつらの毛は乾いているのに、自分の毛は汗で濡れていて、見た目が不自然だ」といった顧客の声に応えたのだ。あるいは「スライドピン」は、自毛にかつらを取り付けるピンの場所を移動できるので、特定部位の自毛を集中して痛めることがない。

もう一つは医療用かつらの開発だ。抗がん剤治療などを行う際、薬の影響で一時的に頭髪が抜ける。たとえ一時的であったとしても、特に女性は人前に出たくなくなる。病気で元気がないのに、さらに気持ちが沈んでしまう。

従来のオーダーメードかつらは納品までに30~45日かかり、しかも提携美容店を2回訪問しなければならない。入院中の患者からかつらがすぐにほしいという切実な依頼が数多く寄せられたものの、その多くは断らざるをえなかった。そこで同社は、女性向けの医療用かつら「メディフィット」を1年近くかけて開発した。

サイズ(S、M、L)、髪色(4色)、髪型(12パターン)のなかから2種類を顧客に選んでもらい、配送する。顧客は試着して気に入った方を選ぶ。このように販売方法を工夫することで、かつらを即納できるようにした。また、製品の仕様は、オーダーメードで医療用かつらを購入した人へのインタビューなどを通じて定めた。例えば、「レントゲン検査のときにかつらをはずせと言われて恥ずかしい思いをした」という声をもとに、こめかみ部分に内蔵する金属ワイヤを着脱できるようにした。

「これから髪の毛が抜けていくのはすごくつらいけど、かつらで前向きに頑張りたいと思います」「抗がん剤の治療で、間もなく髪が抜ける予定ですが、これでストレスのかなりの部分がなくなりました」。同社には、メディフィットのユーザーから喜びの声が多数寄せられている。「かつらを通じて、わたしたちは患者さんの気持が楽になるように『心のケア』のお手伝いをしている。メディフィットを開発してからは、そのような思いを強くしています」と宮﨑社長は語る。2009年には男性向けのメディフィットも開発した。

事業の幅を広げているとはいえ、現在、同社は宮﨑社長を含めて5人の陣容にすぎない。企業規模はあまり大きくはなっていない。従来の尺度からいえば、成長の歩みはゆっくりに見える。しかし、企業が生み出した幸福の総和を基準とすれば、同社は間違いなく着実に「成長」している。企業の価値は、企業が生み出した経済価値だけで測るべきではない。




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