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男性かつらコラム

  • カツラは自然なの?取れない?初めてで不安!という方は必見の口コミ体験レポート。カムーロ見や毛レオさん(30代男性)

  • みやけさん
エピソード2

着脱つれづれ日記2
わくわくカッティングの日 カット調整編

今日は注文したカツラが届いている美容室で髪型を確定し、カッティングしてもらう日だ。

タクシーで自由が丘の美容室「アルーアルー」に向かった。

思えばあの「型取り」の日から今日までの長かった日々、色んな事があったな。でも思い出すのはよそう。

今日は4月にしてはまれにみる強風の夜だ。タクシーを降りるとズボンのすそが、すね小僧までせり上がって来る。風に足元をすくわれる思いでやっと「アルーアルー」に到着し入口ドアにしがみついた。(おおげさかな)

「アルーアルー」で着席すると、中原店長さんが取り出したカツラは僕の頭に乗った。

乗ったというよりも僕の肩から上を全て長い黒髪がすっぽりと被いつくしてしまったという感じだ。

石川五衛門のようなざんばら髪をかき分けるとしょぼい顔がのぞいた。

なんだかO真理教のA教祖の顔を連想してしまう。部下のKにも似ている感じがする。いやな奴に似てしまったな。

店長さんは手慣れた動作でサクサク髪をカットしていく。

そうしながら

  • 1 かつらはあまり洗わないほうがいい
  • 2 洗う時はシャンプーでさっと
  • 3 汗は水でふくこと、アルコールはだめ
  • 4 うしろの髪の境目は分からないように出来る技術あり
  • 5 内蔵のストッパーは位置を変更出来る

といったアドバイスを受けた。

着々と仕上がっていく”かつら”と若返っていく自分

そういった説明を受けながらも僕は別のことを考えていた。オレンジ色のTシャツを着た中原店長のやせた胸を見ながら「もしかして日頃の女性客なんかは中原店長のその少年のような細い胸を見てぐっと来る、ファンも多いんじゃないかな」とこんな時によけいな事を考えたのだった。

店長さんは霧吹きをひんぱんにしゅうしゅうと髪にかけて、ドライヤでセットする。

かつらカットの日

鏡を見ると若くなっていく自分が見える。ちょっと恥ずかしく自分の目が正視出来ない。ばかだね。

やがて完成した。その技術は大したものだ……。でもちょっと違う。

眼鏡をはずした僕はあまりはっきり見えないせいか、髪型のスタイルに細かく注文をつけることなく、なりゆきをぼおっと見ていたような気がする。

希望のスタイルとは多少違うが制約があってこうなるのかな、買ったばかりのスーツだって馴染む前ちょっと違和感があるもんだ。なあに気にすることはない!と自分で納得して椅子を降りた。記念に写真も撮った。

「お客さんはもみあげ上の髪が短いために今はカツラが浮いて見える。しばらくそこのボリュームが増えるまで待ってカツラをつけるようにすればいい。」と店長は説明しながら僕のもみあげ上の髪の少ない部分に化粧用のアイブロウペンシルでさかんに黒く描き込んでいた。

今夜はカツラどころか首まですっ飛んでしまいそうな強烈な風なので、カツラは装着せず透明の専用の箱に入れてもらい帰り支度を始めた。

記念撮影

今後のメンテや自毛の調髪などでは当店に定期的に来られると良いと思います、とか ついてはこうこうの料金になっています、とか説明を受けるとばかり思っていたら中原店長からのアプローチはいっさい何もなくて、気がついてみると強風の往来にハゲ頭で僕は立っていた。ずいぶんあっさりしたお店だな。

タクシーで自由が丘駅に着くと僕は車中の人となった。なぜか乗客の皆がカツラに見える。

お向かいに座って居眠りしている頭の悪そうな兄ちゃん、バンダナとは考えたな、なかなか似合っているがそれしてるとカツラだなんて誰も思わないぞ。

その隣に座っているツートンカラーのお姉さん、茶髪と金髪のロンゲで派手にごまかしているが僕の目はごまかせないぞ、そう、君はカツラだ。

その隣のゴルフ帽のおっさん、そうか帽子という方法もあるな、しかしあなたはまぎれもなくカツラだ。帽子を脱ぐ時に気をつけな。

僕は電車を降りるまで、車中の罪もない乗客をメドレーで一人残らずカツラに仕立てて内心笑いこけていた。

ビデオカメラを持って待ち構えていた家族

ピンポーン!帰宅すると何か様子がおかしい。廊下を進むと次女がビデオカメラを構えている。

「なんだ、父さんカツラじゃないのか」と皆がっかりした。

「ちょっと待て、隣で着けて来る」と言って僕は慣れぬ手付きで慌ててカツラを被ると「さ、どうだ!」とVサインをしていきなり皆の前に現れた。

中学と小学生の娘たちは一瞬父親を見るとフリーズしてしまった。

長女は床に伏せたまま動かない、次女は椅子モタレにしがみついたまま凍ってしまった。

「どうだ、かっこいいだろ!どうした何とか言え!」

部屋はシーンと静まりかえっていた。

そうか子供達は薄毛の僕しか知らないで育って来たんだ、いきなり好青年が登場してもどうしていいか分からないんだ。特にボキャブラリーの少ない年齢、「何とか言え!」と言われても困るだろう。忘れていた、かみさんはどうなんだろう。

「どうだカアちゃん、驚いたか」と言うと

「サイドが無い、サイドが短い」

なぬ?サイドが短い?…なんてつまんねえことを言う。ヒトがせっかくいい気分になっているのに。まあカアちゃんは水をさす天才だからな、何とでも言え。

そういえばカミさんと知り合った20代の頃は僕はロングヘアで当然両サイドの髪は長かったのだ。やがて薄くなり現在のスタイル?になったのだが、いざカツラを付けるとなると昔のように両サイドの長い髪をカミさんとしてはイメージしていたのかもしれない。

その夜はぬいぐるみの「たこやきマントマン」のまん丸い頭にカツラをかぶらせて写真を撮ったりして子供たちは大はしゃぎだった。

かつらをかぶったぬいぐるみ

やっと子供たちが口をききだした。さっきのフリーズはいったい何だったんだろう。

何はともあれ、楽しいカツラ生活は今日からスタートしたのだった。

   

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