着脱つれづれ日記14　カツラ珍事集・飲み屋編4

やい、ハゲと言ったろう。

新宿ゴールデン街のバー「S」のテーブル席で相棒と飲んでいました。

ビールで体温が上がり暑いから、カツラをはずして飲んでいます。

常連Aさんが入って来てカウンターに座りましたが、僕には気が付きません。

彼はハゲ頭の僕を見たことがないからです。

そこで僕はこそこそトイレに入りカツラを装着して席に戻りました。

すぐにAさんは僕に氣付き「どうも先週は…」と笑顔で挨拶。

「いえね、さっきはハゲだったから」とかなんとか僕がしゃべってるとカウンターの端で静かに飲んでいる薄毛のおじいさんBが恐い顔して近付いて来ました。

「やい、今ハゲと言ったろう！」とこぶしを挙げました。

僕はとっさにスルリとカツラをはずし、「僕もハゲ」と言いました。

おじいさんは僕の「光り頭」を見ると言葉を無くし、こぶしを下ろしてカウンターに戻って行きました。

ああ危機一髪、助かった。僕はトイレでカツラの内蔵クリップをはずしておいたのです。

クリップをパチンと止めていたら、自毛にからんでこんな早ワザは出来ないのです。